« シンポジウム「古文書から地域の歴史を紡ぐ―岡本家文書の今までとこれから―」 | トップページ | 『歴史と神戸』356号を発行しました »

2023年1月 6日 (金)

『歴史と神戸』355号を発行しました

61巻6号/歴史と神戸/もくじ

特集 史料が語るひょうご近世史断片

【ひょうご史こぼれ話】

笠形山について…………………………………………………柴田 昭彦(1)

   ―絵はがきの「真見山」の山名―

朝日に向かって出勤し夕陽に向かって帰宅する……………辻川  敦(4)

―塚口と武庫之荘、阪急沿線の住宅地―

六甲開祖之碑の謎………………………………………………前田 康男(8)

――――――――――――――――――――――――――――――――――

寺に対する鉄砲改めについて…………………………………山内 順子(15)

   ―丹波円通寺ふすま下張り文書より―

 

『草稿抄』「入讃記」から

故郷に遊ぶ山片蟠桃……………………………………………歌井 昭夫(31)

加西の文化人児島尚善の子孫について………………………三枝 正平(45)

    ―十河家文書と「種痘済証」から―

 ――――――――――――――――――――――――――――――

  新聞地域版を読む(51)  受贈図書紹介(3044) 新入会員紹介(53

表紙・藤田年男

 

巻頭言

 「歴史と神戸」の三四五号、三四八号、三五一号で特集した城郭画家荻原一青(本名、信一)の特集が、神戸新聞総合出版センターから『荻原一青の城郭画と兵庫の名城』として出版された。尼崎市立歴史博物館の辻川敦さんと出版計画を練り、新たに一青が作成した「百名城手拭い」の画像と作成経緯を収録した。

一青は貧しい家庭に生まれ、少年時代は吃音のために内向的で孤独だったという。成人してからも離婚と戦災による家族との離別があり、書きためた城郭画は空襲と台風で喪失した。荻原一青の前半生はあまりに過酷な苦難の連続だった。それでも、仕事を変えてまで全国の城探訪を続けた。昼は失業対策労働者として働き、夜に城郭画制作を行う生活。城郭研究が認知されていない時代の開拓者の一人で、城郭研究へ新たな視点を生み出した。その遺産に光を当てたことで、城郭ファンを増やせれば、望外の喜びである。(大国)

編集後記 今回は近世の特集。丹波で精力的な活動を続ける山内さんは、江戸幕府による寺院に対する鉄砲改めを追求し、門前百姓の存在に注目する。これを襖の下張り文書から論じた。まさに宝の山▼歌井さんは高砂出身の著名な町人学者山片蟠桃の金毘羅参りと故郷での様子を明らかにする。科学的な発想をする蟠桃が金刀比羅参りに行く動機がおもしろい▼三枝さんは加西の文人、児島尚善の子孫が代々尚善と名乗っていて、後世の冠婚葬祭の史料や種痘済証から子孫の活動の一端を明らかにする▼巻頭の「ひょうご史こぼれ話」は三本を掲載。柴田さんは笠形山の名称が真見山という名称で呼ばれた珍しい絵葉書を紹介。辻川さんは尼崎・阪急沿線の新興住宅街の道路の作り方に注目する。太陽に向かって出勤し夕日に向かって帰宅する。前田さんは六甲山開祖之碑の撤去時期の誤伝を解明した。どれも「へえー」という話。肩肘張らず読んで、会員も気軽に投稿してほしい。    (大国)

« シンポジウム「古文書から地域の歴史を紡ぐ―岡本家文書の今までとこれから―」 | トップページ | 『歴史と神戸』356号を発行しました »