お知らせ

2020年5月21日 (木)

『歴史と神戸』339号を発行しました

59巻2号/歴史と神戸/もくじ
特集・新視点で考える近世史
新出の兵庫津絵図………………………………………大国 正美(1)
    ―琴平海洋博物館所蔵本について―
「一国一城」令の綻び… 秀忠が拘った明石新城…………濵田 昭生(2)
浄土宗法善寺―大坂の都市構造をもとに……………………木村 美菜(19)
尾芝静所著『静所詩鈔』について(下)……………三枝 正平(31)
 ―『静所詩鈔』の更なる詳細・考察―
兵庫県西国街道一里塚(五)相生市若狭野町野々…………中村 和男(39)
――――――――――――――――――――――――――――――
地域史卒論報告会中止のおわび(41) 新聞地域版を読む(18) 新入会員紹介(18)
 受贈図書紹介(41) 委員会から(西播地域委員に岸本道昭さん/会員紹介相次ぐ)(30)

表紙・藤田年男


編集後記 濵田さんは明石城誕生のなぞに迫る。一国一城令と豊臣恩顧の大名対策の兼ね合いを解く。木村さんの論文は昨年の卒論報告会の発表内容。久ぶりの活字化。今後も続けたい▼三枝さんは地元出身の尾芝静所の『静所詩鈔』の考察を完結。まだテーマを持っているとか。中村さんの地道な検証も好調。巻頭の「兵庫津絵図」。琴平の博物館に所蔵されていることを知って尋ねた。神戸大学の住田文庫で著名な住田正一氏(一八九二―一九六八)が運営のトップの時代に古書店で購入したコレクションだという▼地域史卒論報告会は、来場者の健康優先で中止した。混乱を懸念したが会場も閉鎖された。参加者や準備してくれた学生にも申し訳ない。報告内容は公開したい▼財政が危機的。この傾向ではさほど遠くない時期に年6冊の発行は困難になる。窮状を知っていただいた吉井正彦さんや前田康男さん、藤本清志さんらから新会員を紹介いただいている。今後もぜひお願いします。(大国)

 

2020年4月17日 (金)

『歴史と神戸』338号を発行しました

59巻1号/歴史と神戸/もくじ
特集・播磨風土記と記紀研究
ラフカディオ・ハーン神戸時代の眼科医……………楠本 利夫(1)
 ―墓地、国籍、姓名、生・没年月日等発見―
――――――――――――――――――――――――――――――
三条西本『播磨国風土記』印南郡総記条について…垣内  章(14)
『日本書紀』に思うこと………………………………寺本 躬久(26)
絶対年代・日本国号・漢風諡号・初代天皇・「神功紀」と『魏志』
本誌掲載の風土記などの文献………………………………………(33)
【地域から】東灘区住吉と住吉歴史資料館
富豪の村の地域遺産を守り活用する試み……………内田 雅夫(35)
新子さんの表紙…………………………………………今村 欣史(41)
兵庫県西国街道一里塚(四)赤穂市有年横尾………………中村 和男(43)
二〇一九年台風一五号・台風一九号で被災した
歴史資料保全活動への支援募金のお願い
…………………歴史資料ネットワーク(46)
地域史卒論報告会のお知らせ………………………………………(48)
――――――――――――――――――――――――――――――
新聞地域版を読む(32、45) 表紙の言葉(48) 
新入会員紹介(48) 会計報告(49)

表紙・藤田年男

 

巻頭言
 神戸大学大学院の人文学研究科地域連携センターの主催する歴史文化をめぐる地域連携協議会に参加した。阪神・淡路大震災で被災した歴史資料の救出活動に端を発して創られた地域連携センター。活動の成果を市民、研究者、行政、各種団体と共有しようと始まった協議会は今年で一八回目。歴史文化をめぐる環境は年々厳しさを増していると思うが、ここでの報告を聞いていると元気が湧いてくる。住む人がいなくなった無住化集落で地域の記憶を伝える努力を重ねる香美町。子どもたちと地域の歴史を調べる活動をしている香寺町史研究室の取り組みには目を見張った。特に香寺町では、住民でつくる研究会のメンバーが出前授業を行い、生徒が古老にインタビューし町の歴史を学ぶ。「トライやるウイークを活用している」との説明にまだまだ手法があると納得。帰る足取りも軽かった。(大国)


編集後記
「播磨国風土記」と「記紀」の特集にした。垣内さんは三条西本の賀古郡駅家里条で「印南郡総記」として扱われている五九文字について、駅家里の別伝と印南郡標目を写し落としたと推量する。寺本さんは「日本書紀」編纂の頃にはすでに知られていたはずの『魏志倭人伝』と「倭の五王」の記述がない点に着目。大陸に対する国家の意図を読む
▼特集は古代史だが、神戸新聞にも載った小泉八雲の眼科医を突き止めた楠本さんの論考を巻頭にすえた。小泉八雲は意外にファンが多い。読みやすい雑誌を目指す試み
▼地域愛が詰まった住吉歴史資料館の活動を伝えることで少しでもお力になれたらと思う。今村さんの原稿を読んで有井さんらの懐かしい思い出が蘇った。中村さんの地道な検証も好調
▼今年も地域史卒論報告会の季節になった。今年は4人が報告する。会計報告にある通り会の存続が心もとない。新たな会員も募集しています。ぜひ仲間に加わってほしい。(大国

2020年2月28日 (金)

第15回地域史卒論報告会(3/7)を中止します。

2020年3月7日に第15回地域史卒論報告会の開催を予定しておりましたが、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から開催を中止することとしました。準備を進めていただいた報告者のみなさまや、参加予定のみなさまには多大なご迷惑をおかけすることを、心よりお詫び申し上げます。

2020年1月18日 (土)

『歴史と神戸』337号を発行しました

58巻6号/歴史と神戸/もくじ
特集・赤松氏研究の最前線
播磨赤松氏研究の現在…………………………………大村 拓生(1)
「赤松家風条々事」の再検討…………………………藤岡 琢矢(8)
続・赤松円心私論………………………………………依藤 保(28)
―赤松氏の素性についての再検討―
赤松姓を名乗る講釈師たちと市井の文人三木通識…渋谷 武弘(34)
―偽作『播州英城日記』は誰の手になるものか―
本誌掲載の赤松氏関係文献…………………………………………(40)
兵庫県西国街道一里塚(三)神戸市中央区脇浜……………中村 和男(42)
【地域から】受講者が指導役に
「宝塚の古文書を読む会」の活動について………藤本 清志(45)
台風15号・19号で被災した歴史資料保全活動
支援募金のお願い………………………歴史資料ネットワーク(49)
――――――――――――――――――――――――――――――
新聞地域版を読む(7、27) 受贈図書紹介(39、41) 新入会員紹介(48)

表紙・藤田年男

 

 


巻頭言
余りのお宝のオンパレードに目を疑った。東灘区の住吉村の豪商吉田家にあった「聆濤閣コレクション」。吉田家は酒造業で財をなし、好古家と交流。江戸時代後期から明治期にかけて三代にわたり古器物や古文書を収集した。交友の中には寛政の改革で著名な老中松平定信も含まれている。そうして集めた古器物や知人の所有物で模写や拓本をつくり図譜「聆濤閣集古帳」四六帖を作成した。日本地図や金石文、古文書、肖像画、古代官印、武具、服飾文様、楽器や文具、葬具や調度品、古代瓦や仏具、食品など、その数二四〇〇点。今は行方の分からない阿保親王塚から出土した三角縁神獣鏡の拓本も。また中世の古文書の現物そのものも含まれる。「聆濤閣集古帳」は国立歴史民俗博物館が購入、神戸大学・住吉歴史資料館と共同研究、このほど中間報告会があった。この地の豊かさを痛感する。(大国)


編集後記
編集後記 赤松氏研究の最前線の特集になった。兵庫県立歴史博物館で三年にわたり赤松氏研究の整理に取り組む大村さんに研究の史料公開の現状をまとめてもらった。『兵庫県史』以降も地道な史料の発掘が続いていて、その集大成が進んでいることがよくわかる。史料が公開されれば研究は一気に進む。手前味噌ながら小誌がその一助になればと願う。
▼藤岡さんは最近注目される編纂史料「赤松家風条々事」を分析、玉石混交の史料だとする。赤松氏研究を在野でけん引してきた依藤さんは、赤松円心は鎌倉幕府の御家人だが、関東出身ではないとする
▼渋谷さんは赤松姓を名乗る講釈師が皿屋敷譚の形成に役割を果たしたとする。またその嚆矢という「竹叟夜話(ちくそうやわ)」の作成にかかわったとみる三木通識について言及。本誌に掲載された赤松氏に関する文献の紹介も行った
▼地域の地道な活動の紹介は筆者もかかわる「宝塚の古文書を読む会」。今後も続けたい(大国)

2019年10月15日 (火)

「火垂るの墓」記念碑建立へ協力のお願い

「歴史と神戸」三二九号に野坂昭如氏の「火垂るの墓」について執筆した二宮一郎さんたちが、野坂氏の作品を顕彰し、そのメッセージを地域社会に伝え、恒久平和を祈念して、「火垂るの墓」記念碑の建立を計画しました。募金への協力要請を掲載します(編集部)。

 

車(しゃ)胤(いん)を真似たわけではないが、手当り次第につかまえて、蚊帳の中にはなつと、五つ六つゆらゆらと光が走り、蚊帳にとまって息づき、よしと、およそ百余り、とうていお互いの顔はみえないが、心がおちつき、そのゆるやかな動き追ううち、夢にひきこまれ、螢の光の列は、…(中略)…朝になると、螢の半分は死んで落ち、節子はその死骸を壕の入口に埋めた、「何しとんねん」「螢のお墓つくってんねん」

(野坂昭如「アメリカひじき・火垂るの墓」[新潮文庫]より)

 

 西宮市の満池谷(まんちだに)・ニテコ池は、小説「火垂るの墓」の舞台となりました。十四歳の少年清太と四歳の妹節子は叔母の家を出て、この池の畔の防空壕で暮らしました。

この小説は、野坂昭如氏が自己の戦争体験を踏まえて創作し、一九六七年に発表されました。翌春には第五八回直木賞を受賞しました。最近、彼が生活していた満池谷の「おばさんの家」址や、避難した防空壕跡が明らかになりました。

また、一九八八年に高畑勲監督・脚本のもと、制作されたアニメーション作品も、子供たちの身に起る戦争の惨禍を訴え続けています。暗闇に乱舞する螢の光は、命の灯火のように思えます。

【建立日】2020年6月ごろ

【建立場所】西宮震災記念碑公園内

【募金】個人…一口 一千円/団体…一口 一万円

ゆうちょ銀行 記号14310 番号 88078281

口座名 ホタルノハカイインカイ

      「火垂るの墓」記念碑建碑実行委員会

             代 表   土屋 純男

      事務局連絡先 住  所 西宮市満池谷町五―四七

二宮  一郎

電話090―3924―2468/0798―73―1853

  

賛同者(敬称略)

アニメーション映画 美術家山本二三/神戸大学名誉教授安井三吉

兵庫県立歴史博物館館長藪田貫/兵庫教育大学名誉教授松田吉郎

日本大学芸術学部研究所教授 野坂昭如研究家村上玄一/作家町田康

PPH株式会社会長橘民義/西宮回生病院/カーサ・ラ・パボーニ

その他のカテゴリー